“現金が一番”
最近、投資家の方々からよく聞く言葉です。
昨年に起こったリーマンショック以降の金融危機は2009年になってもなかなか払拭できず、株式・景気・住宅価格など何時底打ちするのか誰もわからない中、いつのまにか「貯蓄から投資へ」というスローガンは「投資から貯蓄へ」となって混迷の度合いを更に深めようとしています。
時代はまさに『キャッシュバブル』であり、世界中で現金の価値が異常に高まって相対的に株式、不動産、そして原油、商品、一般消費財まで下落するデフレ状態となっています。
金融危機から経済危機へ、今年1月中旬より各国2008年10―12月期企業決算の発表が進んでいますが、それを見ると、金融危機が急速に実体経済へ波及し企業の収益を押し下げていることがわかります。
特に日本は他国と比較して企業業績の落ち込みが顕著です。
日経平均を例にとって企業業績がどのぐらい落ち込んでいるのか計算してみましょう。
数字は2009年2月6日の日経新聞証券面に記載されている以下の数値を用います。
・日経平均株価:8076円62銭
・株価収益率(PER、倍):9.17(前期基準)
・株価収益率(PER、倍):36.05(予想)
株価収益率=株価÷一株利益ですので
前期基準の一株利益=8076.62÷9.17≒880.8円
今期予想の一株利益=8076.62÷36.05≒224.0円
増益率は224.0÷880.8-1≒-74.6%
ほぼ昨年3月期(注1)の1/4の利益になってしまったということです。
これは他国と比較しても相当酷い数値です。
ちなみに米国S&P500で2008年、-13.1%、2009年、-10.0%(注2)、新興国のインドを代表するSENSEX指数では2009年3月予想で+16.2%となっています(注3)
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注1:日経平均採用銘柄の決算期は3月が多いので、暫定的に前期を2008年3月、今期を2009年3月と考えて差し支えないと思います。
注2:数値は日興コーディアル証券国際市場分析部発行の週刊レポート「みのり」2009年2月6日号より、米国企業は決算期が12月のものが多いことに注意。
注3:前期の一株利益はBSEが発表しているSENSEX実績ベースのPERのティッカー「PEINB30 Index」とSENSEX指数から推計[2009/2/6](9300.86÷12.92=719.9)、予想一株利益はブルームバーグの予想値(836.87)を使用。インドSENSEX採用企業も日本と同様ほとんどが3月決算です。
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各国各様ではありますが、サブプライムローンの影響が最も少ないと言われた日本の企業業績が最も落ち込み、昨年来これほど株価が下がったと言えど日本株の割高感は現在でも相当なものです。
世界的な金融危機において各国政府は景気対策により自力で、2009年の景気底打ちを目指しています。
それに引き換え日本の政治は衆参のねじれや首相の指導力不足により迷走を続けており、このままいくと日本経済は本当の危機をこれから迎えるのではないかという懸念を感じます。
株式には、将来の業績見通しが明るいにも関わらず、キャッシュバブル現象から不当に売られ過ぎていると思われるものもあります。
本来ならこれらの銘柄群については現在評価損であっても中長期的保有が可能ならば売る必要がないのではと思います。
しかしながら、不当であれ、何であれ売られれば下がるのが株です。
評価損の拡大は避けられるのであれば避けたいところです。
保有していれば、世界的な金融の変調やアクシデントの影響を受けて言われなき売りで評価損が増える可能性があります。
それなら売って現金に・・・と思う気持ちはわかります。
しかし、将来の業績見通しが明るい企業の株式を売るのは忍びない。
金融環境が正常化すれば真っ先に上昇するのではないかとの思いもあります。
保有して耐えるか、売って現金にするか、悩まれる方も多いと思います。
しかし、この株価下落局面において他に方法はないのでしょうか?
そこで私が考える“第3の方法”を紹介します。
それは
『他の株を売る』
という方法です。
信用取引や先物・オプションのようなデリバティブ取引が可能な方は説明不要だと思います。
しかしながら一般投資家にそのようなセミプロ的手法はなじまないとも思います。
それでは一般投資家にはやはり、耐えるか、売るかしかないのでしょうか?
実は1万円から出来て、同じような効果が得られる商品があります。
それが
『リバース型投資信託』
です。
『リバース型投資信託』とは、例えば日経平均が10%下落すると10%上昇するという投資信託です。
この投資信託は様々な運用会社が設定していますが、あまり活用されていないように見受けられます。
これなら少額から投資可能で、尚且つ信用取引やデリバティブ取引のように追加証拠金を徴収されることもありません。
自分自身がこの企業の株式は売りたくない。しかし海外や日本の金融環境はまだ波乱の可能性を秘めていると考えるなら、株式は保有したまま、リバース型投資信託の購入を検討してみてはいかがでしょうか?
ちなみに、史上最強の投資家と言われるジョージソロス氏はインド株式等に投資しながらも、先進国株式の先物等を売っていたと言われており、昨年2008年も比較的高い運用パフォーマンスをキープしているという噂です。
現時点においても世界の経済・金融市場は不安定な要因をいくつか抱えております。
例えば、ヨーロッパの小国やロシアの財政破綻懸念、米国GMの破綻懸念、中国の旱魃が景気に与える影響、ヘッジファンドの換金売り等々・・・
だから、これからも株は下がると言っているのではありません。
このような懸念は逆に一つずつ払拭されていく過程で株価が上昇していく可能性も充分にあると言えるでしょう。
ゆえに、ただ株を売ってしまうのではなく、割安となっている株式は保有しながら、割高と思える日経平均株価を売るという戦略、この金融危機を積極的に耐える方法としてご紹介いたします。
(FTG Mail News 2009.2.10より)
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