パットとティーショットの違い
匠です。
なぜ、同じ株式でありながら、その後のリターン分布が正規分布であるという主張に違和感を感じるのでしょうか?
匠はひとつの解釈として、株式投資における静的な力である「バリュエーション(株式の本質的価値:利益や資産などから計られる価値)への回帰」は、その投資リターンを正規分布に導くが、別の次元の力が作用した時、その投資リターンの分布は様々な形に歪むのではないかと考えています。
言葉ではイメージしづらいので、愛好家の多いゴルフを例にとって説明しましょう。
まず、グリーン上が全くの平面で芝の目も素直なものであった時にパッティングを行った場合、カップを中心に頻度が高く、左右に離れるほど頻度が低くなります。
図4.パッティングの分布(複雑系と相場p.8より)
しかし、仮にPar3、220yのコースで、ティーショットをドライバーで真っ直ぐに打った場合、そのボールの分布はパッティングとは異なり、左右に頻度が高い双頭分布となります。
図5.ドライバーショットの分布(複雑系と相場p.10より)
これはボールを強く叩くことにより、力の一部がスピンに変換させられるからです。
真っ直ぐに打つためには、プロであってもまぐれのような確率で正確に中心を捉えなければなりません。
この時、わずかなずれがフックとスライスというスピンを生み、狙った方向から乖離させ、双頭分布を生み出すと考えられます。
匠の解釈としては、株式市場の中でも同じような状況が起きていると考えています。
つまり株式市場のスピンとは
『投資家の他者追随行動』
ではないかと思うのです。
株式市場の中ではバリュエーションの判断によって投資行動を決定している投資家も多いと思われますが、「相場は相場に聞け」という格言があることからも他者(相場)追随型の投資家も少なくないと思われます。
このような株式市場のヒューマンスピンとでも呼ぶべき力が、本来の正規分布を歪ませるのではないか、そう匠は考えています。
双頭分布のようなケースではハイリターンとロー(マイナス)リターンが共存していて、ミドルリターンの可能性が低いという、ギャンブリングな投資環境と考えられます。
このようなリターンの分布がバリュエーションとヒューマンスピンでどう変化するのかについて示唆を与えたのが“魚が一列になって泳ぐこと”や“鳥が群れをなして飛ぶこと”をモデルとして捕らえたドイツの物理学者ウオルフガング・ワイドリッヒであり、1974年『社会的模倣の理論』を出版したアメリカの物理学者アール・コーエンとドン・シャピロであります。
匠は、この『社会的模倣の理論』により、株式市場には投資に相応しい環境とそうでない環境があるのではないか?
一律にランダムウォークと捉える考えは、あまりに巨視的ではないかと考えるようになりました。
明日へ続く>>>
参考:複雑系と相場 トニス・ヴァーガ著 新田功・永原裕一訳(白桃書房)
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