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2008年5月22日 (木)

実需と仮儒、投資と投機

匠です。

NYの原油先物相場(WTI)は1バレル当たり130ドル台を突破してきました。
この事態は現在世界で進行しつつあるインフレ懸念を増進させ、世界景気の足かせとなることが心配されます。

ちなみに本日の日経新聞によると、今年の原油価格見通しを

・ゴールドマンサックス:107ドル→141ドルへ修正
・クレディスイス:91ドル→120ドル
・ブーン ピケンズ(米投資家):150ドル

と予想しているそうです。

この予想の修正の仕方、そして各評価主体のバラツキを見て、匠はある時期を思い出します。

それは、1990年代後半に起きたITバブルです。
 
当時、携帯電話やインターネットの拡がりは、そのスピードを予想するのが難しく、関連企業の企業業績そして企業価値(株式価値)の算定評価は前提条件の取りかたによって各評価主体ごとバラバラ、後にITバブルと呼ばれる投機的相場により値付けされた株価を正当化する為にこじつけたような前提条件や評価手法が散見されました。

以前、客観的評価が難しくコンセンサスにバラツキが出るものほどバブル化しやすいという研究レポートを読んだ記憶があります。

そう考えると、原油価格のファンダメンタルズファクターは、需要面で世界の経済成長他、代替エネルギーの開発状況等、供給面で採掘量・埋蔵量他、精製設備の稼動状況、地政学的状況など統一した客観的評価が難しく原油の市場価格はボラタイルな動きになりやすいマーケットと考えられます。

結論から言えば、匠は現在の原油相場は投機的な色彩が強く、現実の需給を反映しているとは思えません。

匠に言わせれば、現物で受渡されたら困る、決済を前提とした商品への投資行動は投機と定義されます。

株式の信用取引なら期日に現物で受渡されても、保管コストもわずかですし、配当が期待できるものもあるかも知れません。
しかし、原油先物などで現物で受渡されても、石油会社などでなければ膨大な保管コストが掛かる上、原油自体は何も生み出さないのです。

最近、資産運用というものを考える中で、株式や債権という伝統的な資産に加えて、商品への投資を検討すべきではないかという意見が増えているようです。

確かに、目の前のインフレ懸念を考えるとダイレクトにヘッジ可能なそれらの商品ファンドを資産運用に組入れることは自然な流れです。

しかし、それは自分で自分の首を絞めることにならないでしょうか?

ちなみに日経新聞2007年11月22日朝刊によると、各資産のマーケットサイズは

世界の株式市場(時価総額):7200兆円(07年10月時点)
世界の債券市場:5500兆円
米国の原油先物市場:14兆円

日本の投資信託で最も有名と思われるグローバルソブリンその純資産残高は5兆円強、ちょっとした投資信託でも純資産1000億円ぐらいのものは数多くあります。
このことから商品相場への投資がマーケットに及ぼすインパクトは株式などとは違い、決して小さくないと思われます。

自らの投資アドバイスが商品価格高騰を煽り、その為にインフレや食糧危機を助長し、非資源国・非農業国の貧困を加速する投資を推奨すべきなのか?

次回、インフレへの処方箋となるもう一つの資産にて、匠の考えを述べたいと思います。

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コメント

石油業界に身を置くものとして、現在の原油高騰には辟易しています。
匠さんが言われるように、「それは自分で自分の首を絞めることにならないでしょうか?」に気づけば落着くんでしょうかね。

投稿: 兄貴 | 2008年5月28日 (水) 17時29分

兄貴さん、コメントありがとうございます。
このあたりが市場原理主義の矛盾だと思います。

投稿: 匠 | 2008年5月29日 (木) 09時30分

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