インフレ世界危機?
匠です。
さて、前週Newsweek日本版の表紙
『インフレ世界危機』…
今更ながら、メディアというのは危機感を煽るのが本当に好きだな~と感じる匠であります。
(まぁ極端な表現をしなければ興味を持ってもらえないという事情もわかりますが…)
変な話、「危機だ!」「危機だ!」「インフレ危機だ~」と叫んで、多くの人間がそれを真に受け
「いかん、今の内に買い溜めしておこう」と思い出したら、短期的な需要急増に商品の供給が追いつかず、物不足になり価格は急騰します。
もし、そうなったらメディアは“我々の記事はこの事態を以前から見通していた”なんていうんでしょうか?
悲しいことではありますが、この手の『狂言インフレ』っていうのは馬鹿になりません。
昔、ある信用金庫が女子高生のたわいない一言“信用金庫は危ないよ”という冗談から取り付け騒ぎが発生しパニックになったことがあるぐらいです。
特に最近、金融面において商品ファンドやETF他、商品先物を組入れたファンズオブファンズが増えてきております。
この状況が商品価格上昇に与える影響は決して小さくないと思われます。
このことに関し、先日6月23日放送のNHKスペシャル「マネーの暴走が止まらない~サブプライムから原油へ~」において、ある年金担当者の発言が非常に興味深いものでした。
“我々が原油等の商品に投資することによってガソリン価格が上がれば我々の顧客である年金受給者は困るであろう”
“しかし、我々が商品に投資しなくても誰かが投資する”
“もし我々が投資しなければ我々の顧客はただ困るだけになってしまう…”
上記の発言から、彼ら機関投資家は自らの商品投資がインフレを促進させ、顧客である国民に不利益を与え、尚且つ他運用資産の株式・債券のパフォーマンスを悪化させる可能性を充分に認識していると思われます。
彼らの立場を考えると、他に選択肢はないのでしょう。
まさに、自らの首を絞めていることに気付きながら、どうしようもないといったところです。
しかし、匠から見れば、彼らは重要なリスクについて言及していません。
それは、商品価格の下落についてです。
確かに、周りの年金も商品投資を取り入れているから…ということはあるでしょう。
年金のキャッシュアウトがインフレ率と相関があることもわかります。
しかし、この構図…最近見た覚えが…
そう、サブプライムローンです。
投資銀行がせっせと組成し、あらゆる金融機関やファンドに撒き散らし、現在の金融危機の原因を作った奴です。
今度は、商品の代表格である原油に関して過去から狼少年的に言われている「ピークオイル説」を声高に叫び、自分たちで買い煽っておきながらインフレの危機だと言い、インフレヘッジに商品先物を組み込んだ金融商品をと言って売りまくる。
6月28日日経新聞“市場の話題”によると、投資銀行は石油会社同様、貯蔵タンクも持っているそうで、まったく恐れ入ります。
現在、米議会は原油先物市場での投機抑制を狙った3本の法案として、投機筋の建玉上限の設定、投資銀行のエネルギー・トレーディングの自己ポジション公開を義務付け、年金基金など大手機関投資家による市場参加禁止などを提案しているようです。
匠には、この状況を利用して、彼ら投資銀行が自らのポジションを年金や個人投資家有する投資信託に押し付けるように思えてなりません。
もし、匠の想像通りになれば、一部の投資銀行は商品ポジションを利食いし、商品価格は下落、政治家は面子を保ち、インフレを止めたと自負するでしょう。
バカを見るのは、インフレ危機などという言葉に踊らされて、金融商品を通じ史上最高値となるような価格で商品を買った人達となるのではないでしょうか。
原油価格には「需給バランス」「地政学リスク」「投機的売買動向」の3つの要素があります。
需給バランスについては、米エネルギー省エネルギー情報局(EIA)データによると、原油の消費から生産を引いた需給バランスは2007年11月にピークを形成した後、来年3月にはほぼバランスすると見られており、また地政学リスクは常に不確定であるが、過去の中東戦争のようなきな臭いものは見られないと考えます。
個人的にポイントとなるのではないかと思うのが、8月アメリカにやってくる“ハリケーン”の季節です。
このハリケーンによって米国製油所に何かアクシデントがあれば、原油価格は大きく影響を受けると思われます。
それだけに、このあたりの時期を中心に原油を中心とした金融商品の実質的保持者が変わり、価格トレンドも大きく変化すると予想しています。
先の番組で年金運用担当者の彼は、会議で“皆さんグッドニュースです。商品ファンドのパフォーマンスがすごく良かったようです”と笑顔で報告していました。
世界の多くの人々が、原油価格の下落、インフレの緩和で笑顔を見せるようになった時、彼の顔は苦渋に満ちたものになるかも知れません。
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